学会概要/理事長挨拶
第11代理事長挨拶
この度日本トキシコロジー学会の理事長という大役を仰せつかり,2010 年1月からの2 年間を務めさせて頂くことになりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。日本トキシコロジー学会は,先達の先生方が相集い,開始した「毒性研究会」を基盤に,「毒作用研究会」を経て,1981 年に「日本毒科学会」となり,1997 年に名称変更を行い,現在の「日本トキシコロジー学会」として発展を遂げてきています。
本学会は,医薬品,農薬,各種化学物質や生物由来物質などの生体や生態系に及ぼす影響を,基礎から応用まで幅広い分野で研究を進めている産・官・学の研究者・技術者が参画しています。本学会に集う産・官・学の研究者・技術者は,化学物質のヒトや動物への影響,さらに環境影響を予見し,安全性を科学的に評価し,毒性の発現を未然に防止するために努力しています。会員数も約2,500 名を数え,トキシコロジー分野が着実に発展していることがわかります。
本学会は,歴代の理事長はもとより,土井邦雄前々理事長,山添康前理事長のもとで様々な改革が行われ,教育事業の事務局委託と効率化,会員名簿の電子化システム移行などホームページの拡充と会員への情報提供等のサービスの充実が図られてきています。加えて,永沼編集委員長はじめ各編集委員の御尽力により,本学会の学術誌J. Toxicol. Sci.がインパクトファクター獲得へと大きく前進し,魅力的なジャーナルとしての展開が期待できます。会員皆様のJ. Toxicol.Sci. 誌への積極的な御投稿をお願いし,質・量ともに優れた学術誌にしていただくことをお願い申し上げます。本学会の各種常置委員会の活動も活発に行われてきており,今後も相互に連携しつつ,若手研究者の育成などにも繋げていただければと思います。本学会のこのような各種事業がスムースに展開でき,会員へのサービス向上につながるよう努めて行きたいと考えております。
社会的には,医薬品はじめ化学物質や海外への依存度の高い食品関連の化学物質汚染などに対する「安全・安心」に対する関心が高まっております。一方では,インターネットを介して,わが国では承認されていない医薬品,健康食品などが入手でき,それらの安全性も社会の関心の的になることがあります。一時的で流動的な化学物質をめぐる問題に対しても,本学会のホームページを活用して社会への速やかな情報提供などの対応が出来るように進めていきたいと考えます。このような活動を通して,本学会が,トキシコロジーが,学術的・科学的な面からのみならず,社会的に重要な分野であることを認知され,受けいれられるよう努めていきたいと考えております。
会員の皆様の学会活動への積極的なご参加をお願いし,本学会のさらなる発展に寄与できるよう今後の2 年間を務めていきたいと思います。
2011年1月 吉田 武美