学会概要/理事長挨拶
第18代理事長挨拶
この度、第18代日本毒性学会理事長を拝命した広瀬明彦((一財)化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所)です。2024年7月からの2年間務めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
2020年には学術年会長として学術年会のオーガナイズを仰せつかったところですが、今回は毒性学会全体の運営に携わることとなり、より大きな責任を感じているところです。2020年からのコロナ禍で危ぶまれた学会運営においては、学会初のWebのみによる学術年会の企画をはじめとして、学会活動へのオンラインシステム導入に貢献させていただきました。その後、理事や各種委員会委員を含む全ての学会員及び賛助会員の皆様のご活躍により、学術年会の運営や各種行事もコロナ禍以前の状況に回復してきたところではありますが、対面を重視しながらも効率的なIT環境を使いこなす必然性も増すというポストコロナに伴う新たな課題も浮き彫りになってきていると感じております。
定款に定められた毒性領域の研究の進歩発展を図る目的においては、化学物質を含む様々なストレッサーが生体に及ぼす反応を明らかにする基礎研究を推進することが最も重要であることは論を待たないところですが、毒性学の目標の一部である安全性評価に対しては、応用学や社会学等の観点を含む複合領域的な研究との連携も重要となります。つまり多様な領域の知識を取り入れると共に、多様な集団に属する人とのコミュニケーションが重要であると考えます。このような多様性を重視する活動は、昨今の国際目標としての持続可能性のある開発目標(SDGs)にとって必要なものであり、日本毒性学会のSDGsにとっても重要な位置づけであると思います。
前述したIT環境を効率的に使いこなすためにも、多様性のある活動方針が必要となっていると考えます。務台前理事長からの申し送り事項である若手や女性研究者が活躍しやすい学会とするための学会運営の改良に持続的に取り組んで行くことは多様性に関する重要課題の一つであると考えます。また、多様性という意味において、これまでも取り組んできた国内他学会との連携強化や国際活動へさらなる貢献を進めていくことは当然の流れであると思われます。加えて、これまでも学会として力を入れて取り組んできた各種講習会や認定トキシコロジスト制度をポストコロナの中で適正に運用していくことも常に意識しておく必要があります。
今般、理事長を拝命するにあたって、これらの多様性のある学会活動を維持していくための効率的なIT環境としては、新たなコミュニケーションツールの導入が欠かせないと感じています。すなわち、毒性学の各種学会事業における知識の習得や意見交換、国内外の幅広い情報収集方法等に関して、より迅速な方法でアクセスできるような仕組みに改良していくことも一つの目的として掲げたいと思います。例えば現状のホームページやメールに加えて、より効率的に学会員と情報共有ができるようなシステムの導入を検討したいと思います。このような情報共有の構造的な改善により持続可能で発展的な学会の基盤を作ることが今期の使命の一つであると考えていますので、これまで同様、日本毒性学会員の皆様のご支援ご協力を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
2024年8月5日 日本毒性学会理事長 広瀬 明彦