認定トキシコロジスト/認定トキシコロジストとは
トキシコロジーは化学物質の有害作用を研究する学問であり、トキシコロジストは毒性の検出、機序の解明と化学物質の管理までを含む広い範囲に及ぶ専門的な知識と技術を要求される。認定トキシコロジストとは学会などによりトキシコロジー全般に亘ってその基準を満たした専門家として認定されたトキシコロジストである。
米国毒性学会Society of Toxicology (SOT) はトキシコロジストを認定するために1979年にAmerican Board of Toxicology Inc.(ABT)を設立した。ABTの認定制度は毒性学の範囲と役割の基準を定め、その基準を満たすトキシコロジストを認定することによって毒性学の発展を図ることを目的としている。認定は資格認定と筆記試験からなっている。まず毒性学における十分な教育と経験を持ったトキシコロジストに受験資格が与えられる。この要件として例えば、薬学博士、獣医師、医師などは資格取得後3年間の毒性学的実地経験が必要とされる。筆記試験は一般原理と応用毒性学、毒性物質、標的臓器と毒性効果の3部からなり、各部100題出題される。受験資格取得から2年以内に、3部のすべてに合格したものが合格者となる。最初の試験で2部門しか合格しなかった場合には次の年に残りの1部門について受験することが許されている。最初の認定試験が1980年に行われ、Diplomate of the America Board of Toxicology(D.A.B.T.)と呼ばれる認定トキシコロジストが誕生した。なお、D.A.B.T.は5年ごとに資格を更新する。更新には毒性試験研究に実際に従事していること、自己研鑽を続けていること、毒性学知識を維持していることが必要である。毒性学的知識の維持を確かめるためにレポート形式の試験(資格取得時の試験の半分の150題)を課している。2005年までに2086人がD.A.B.T.として認定され、2005年2月現在で1743人のD.A.B.T.がおり、そのうちアメリカ人以外のヒトが100人以上で、日本人は9人である。
ヨーロッパの13カ国で構成されている欧州トキシトロジー学会(EUROTOX)が1996年より加盟各国のトキシコロジストの登録制度を設けており、毒性学的経験と知識および論文等の業績評価をしてそれに合致したトキシコロジストをEUROTOX Registered Toxicologistとして認定している。この認定制度の大きな特徴は(欠点だと思うが)ABTのような試験が無いことである。
日本では1995年に毒性学会の教育委員会が諸外国の認定制度、特にABTについて検討を始めた。トキシコロジストのモチベイションを高め、毒性試験の試験責任者等のトキシコロジストの質の向上を図り、毒性学を発展させるためにはABTと同等の範囲、レベル、基準を満たすことが必要とされた。従って、最初の認定試験の実施のためにGrand Father制度を導入したことを除けばほとんどABTと同じである。
1998年に最初の認定試験が行われた。以後2005年までに8回の認定試験が行われ、計226名の認定トキシコロジストが誕生した。2002年に第1回の資格更新手続きが開始され、99人のGFのうち69人が更新した。現在GFも含めた認定トキシコロジストは295名である。また、それまではABTと同様にCasarett & Doull's Toxicologyが参考図書とされていたが、2002年からは日本毒性学会教育委員会の「トキシコロジー」が編集され、正式参考図書となった。なお日本毒性学会認定トキシコロジストは英語ではDiplomate of the Japanese Society of Toxicology (D.J.S.O.T.)と呼称される。
トキシコロジスト個人にとっては、登録申請のための試験責任者の資格条件として、認定トキシコロジストの資格を持つことが就職や昇進に有利となる可能性がある。雇用者にとってもこの制度は採用の客観的評価基準を持つと言うメリットがある。社会においても、基準に合致した有資格者が国際的合意に基づく試験法でGLP基準に基づいて行った試験を、基準に合致した審査官が安全性を評価して新薬等を世に出すことにより、安全性に対する国民の理解がより得られやすくなると思われる。
米国毒性学会Society of Toxicology (SOT) はトキシコロジストを認定するために1979年にAmerican Board of Toxicology Inc.(ABT)を設立した。ABTの認定制度は毒性学の範囲と役割の基準を定め、その基準を満たすトキシコロジストを認定することによって毒性学の発展を図ることを目的としている。認定は資格認定と筆記試験からなっている。まず毒性学における十分な教育と経験を持ったトキシコロジストに受験資格が与えられる。この要件として例えば、薬学博士、獣医師、医師などは資格取得後3年間の毒性学的実地経験が必要とされる。筆記試験は一般原理と応用毒性学、毒性物質、標的臓器と毒性効果の3部からなり、各部100題出題される。受験資格取得から2年以内に、3部のすべてに合格したものが合格者となる。最初の試験で2部門しか合格しなかった場合には次の年に残りの1部門について受験することが許されている。最初の認定試験が1980年に行われ、Diplomate of the America Board of Toxicology(D.A.B.T.)と呼ばれる認定トキシコロジストが誕生した。なお、D.A.B.T.は5年ごとに資格を更新する。更新には毒性試験研究に実際に従事していること、自己研鑽を続けていること、毒性学知識を維持していることが必要である。毒性学的知識の維持を確かめるためにレポート形式の試験(資格取得時の試験の半分の150題)を課している。2005年までに2086人がD.A.B.T.として認定され、2005年2月現在で1743人のD.A.B.T.がおり、そのうちアメリカ人以外のヒトが100人以上で、日本人は9人である。
ヨーロッパの13カ国で構成されている欧州トキシトロジー学会(EUROTOX)が1996年より加盟各国のトキシコロジストの登録制度を設けており、毒性学的経験と知識および論文等の業績評価をしてそれに合致したトキシコロジストをEUROTOX Registered Toxicologistとして認定している。この認定制度の大きな特徴は(欠点だと思うが)ABTのような試験が無いことである。
日本では1995年に毒性学会の教育委員会が諸外国の認定制度、特にABTについて検討を始めた。トキシコロジストのモチベイションを高め、毒性試験の試験責任者等のトキシコロジストの質の向上を図り、毒性学を発展させるためにはABTと同等の範囲、レベル、基準を満たすことが必要とされた。従って、最初の認定試験の実施のためにGrand Father制度を導入したことを除けばほとんどABTと同じである。
1998年に最初の認定試験が行われた。以後2005年までに8回の認定試験が行われ、計226名の認定トキシコロジストが誕生した。2002年に第1回の資格更新手続きが開始され、99人のGFのうち69人が更新した。現在GFも含めた認定トキシコロジストは295名である。また、それまではABTと同様にCasarett & Doull's Toxicologyが参考図書とされていたが、2002年からは日本毒性学会教育委員会の「トキシコロジー」が編集され、正式参考図書となった。なお日本毒性学会認定トキシコロジストは英語ではDiplomate of the Japanese Society of Toxicology (D.J.S.O.T.)と呼称される。
トキシコロジスト個人にとっては、登録申請のための試験責任者の資格条件として、認定トキシコロジストの資格を持つことが就職や昇進に有利となる可能性がある。雇用者にとってもこの制度は採用の客観的評価基準を持つと言うメリットがある。社会においても、基準に合致した有資格者が国際的合意に基づく試験法でGLP基準に基づいて行った試験を、基準に合致した審査官が安全性を評価して新薬等を世に出すことにより、安全性に対する国民の理解がより得られやすくなると思われる。
元教育委員会委員長 津田修治
認定トキシコロジスト認定試験合格者数
回(年度) | 受験者数(名) | 合格者数(名) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
第1回(1998) | 119 | 49 | 41 |
第2回(1999) | 78 | 22 | 28 |
第3回(2000) | 68 | 24 | 35 |
第4回(2001) | 42 | 16 | 38 |
第5回(2002) | 55 | 23 | 42 |
第6回(2003) | 69 | 28 | 41 |
第7回(2004) | 80 | 42 | 53 |
第8回(2005) | 87 | 22 | 25 |
第9回(2006) | 79 | 38 | 48 |
第10回(2007) | 73 | 34 | 47 |
第11回(2008) | 56 | 18 | 32 |
第12回(2009) | 74 | 41 | 55 |
第13回(2010) | 60 | 24 | 40 |
第14回(2011) | 70 | 26 | 37 |
第15回(2012) | 72 | 23 | 32 |
第16回(2013) | 72 | 23 | 35 |
第17回(2014) | 77 | 24 | 31 |
第18回(2015) | 104 | 48 | 46 |
第19回(2016) | 76 | 27 | 35 |
第20回(2017) | 98 | 48 | 48 |
第21回(2018) | 84 | 35 | 41 |
第22回(2019) | 82 | 27 | 33 |
第23回(2020) | 51 | 25 | 49 |
第24回(2021) | 71 | 23 | 32 |
第25回(2022) | 67 | 30 | 45 |
第26回(2023) | 55 | 25 | 46 |
合計 | 1919 | 765 | - |