一般社団法人日本毒性学会,THE JAPANESE SOCIETY OF TOXICOLOGY

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毒性学コミュニケーション/毒性学会Q&A

毒性学会Q&A

Q:毒性学とは何ですか?

A:毒性学とは、医薬品や化学物質によって引き起こされる、生体(時に生態系)にとって好ましくない有害反応(毒性)を明らかにし、生じた毒性の発現メカニズムを明らかにする学問です。これらの知見は行政に反映され、安心して使用できる基準や使用の規制などに生かされます。

過去起こったサリドマイドやキノホルムなどの薬害、さらにメチル水銀による水俣病の発症など公害に関する研究も毒性学の分野です。

このような様々な分野の毒性学を研究する方々の学術交流の場として、一般社団法人日本毒性学会が結成されています。

Q:一般向けの活動はありますか?

A:毎年、市民公開セミナーを開催しています。是非ご参加ください。

市民公開セミナー

過去の市民公開セミナー

Q:毒性学会はどのような人達で構成されていますか?

A:以下のような産官学に所属する会員で構成されています。

産:医薬品、農薬、食品(添加物や新素材など)、その他新規化学物質を開発製造する企業の毒性研究者など

官:医薬品等の新規化学物質の承認や規制に関わる国立の研究所、医薬品医療機器総合機構の研究者など

学:医学、薬学、獣医学等の毒性研究者など

Q:毒性研究者はどんな仕事をしていますか?

A1:産(企業)の毒性研究者

医薬品、食品(添加物、新素材など)、農薬、その他新規の化学物質を開発し製造・販売する企業には、開発された新規物質の人や環境に対する影響と安全性を研究・評価するための毒性(安全性)研究部門が設けられています。安全性研究は多くの試験研究を組み合わせて行われ、それぞれに高い専門性が必要なことから、企業から委託されて、安全性研究を専門に行う受託研究機関でも多くの毒性研究者が活躍しています。


A1-1:製薬企業の安全性研究員

薬の開発は、薬の元になる成分を発見したり、無限に作られる化合物の中から開発候補を選択したりすることから始まります。そして、実験動物や細胞を用いて有効性や期待しない作用(副作用)が無いかどうかを検討して新薬の候補が絞り込まれた後(非臨床試験)、人に投与され、有効性や副作用を確認します(臨床試験)。臨床試験を経て薬として承認される際には、非臨床試験データ及び臨床試験データから総合的に評価し、薬として上市しても良いかどうかが判断されます。

製薬会社の安全性研究員は薬の開発初期から、上市されるまで、様々な手法を用いて人に投与されても問題が無いかどうかの評価(安全性評価)をしています。初期の開発候補選択、さらに臨床試験の開始までに実験動物や細胞等を用いた実験を行い、人に安全に投与できるか確認しています。そして、薬として承認される際には、実験動物、細胞そして臨床試験でのデータから総合的な副作用の予想と、安全に使用できる範囲の確認を行っています。


A1-2:食品企業の安全性研究員

食品の製造や流通時には、加工や保存性の向上のために添加物や包装容器が使用されています。

また最近では、日常生活での健康の増進を目的とした特定の食品(特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品、いわゆる健康食品(サプリメントなど))が普及しています。

食品企業の安全性研究員は、これらの素材や有効成分が健康へ意図せぬ影響を及ぼすことがないよう、世の中で報告されている安全性に関する情報を調査、あるいは安全性を確認するための試験を実施し、一般の消費者の皆さんが安心して使用できるものであるかを判断する仕事をしています。


A1-3:CROの安全性研究員

受託研究機関(Contract Research Organization: CRO)は、企業、団体、大学や国などからの依頼を受けて研究試験を行う専門機関です。

私たちの身の回りには、医薬品や食品、農薬、化学物質など多種多様な物質がありますが、まちがった使われ方や摂取量によって害を及ぼすことがあります。

CROの安全性研究員の仕事は、毒性試験の専門家として、これらの依頼を受けた物質について使用目的や特性に応じた毒性試験を提案・実施し、その物質の潜在的な危険性(ハザード)を実験で明らかにすることです。

こうして得られた毒性データは、消費者のみなさんが安心して使える製品作りや使い方(用量)を決めるための重要なデータとなります。

また、身の回りの汚染物質について法律の規制値を決めるための毒性試験を行うことで、人々の健康被害を防いでいます。

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